手根骨(しゅこんこつ)の骨折 有鉤骨骨折(ゆうこうこつ こっせつ)
有鉤骨(ゆうこうこつ)とは、手根骨(しゅこんこつ)の一つです。小指と薬指の間にあり、手首の上部に位置しています。
下記のイラストの「鉤」と書いてある部分が、有鉤骨(ゆうこうこつ)です。
交通事故では、バイクのアクセルを握った状態で衝突した場合に、有鉤骨(ゆうこうこつ)を骨折することが多いと言われています。
交通事故以外でも、ラケットやバット、ゴルフのグリップを振る際に、有鉤骨(ゆうこうこつ)を骨折することがあります。
(1)症状
有鉤骨(ゆうこうこつ)を骨折すると、手のひらの下部に痛みを感じます。痛みと言っても、激痛ではありません。お箸(おはし)を持つ際に小さな違和感を感じたり、ドアノブを握る際に軽い痛みを感じる程度です。
このように被害者自身がわずかな痛みしか感じないため、お医者さんであっても骨折を見逃してしまうことがあります。
お医者さんに痛みを伝えた場合であっても、XP(レントゲン)では手根骨(しゅこんこつ)の骨折を確認できないことがあります。そのため、お医者さんであっても骨折に気が付かないということは珍しくありません。
手根骨(しゅこんこつ)の骨折を確実に発見するためには、手の外科の専門医を受診することが重要です。専門医に心当たりがない場合でも、主治医に相談すれば、最寄りの専門医を紹介してくれます。
(2)治療
骨折した部分の骨がずれていない場合は、6週間ほどギプスで固定します。
骨折した部分の骨が大きくずれている場合は、切除術(せつじょじゅつ)を実施します。切除術とは、骨折している骨の一部を取り除くという手術方法です。
切除術(せつじょじゅつ)を行った場合は、その後およそ1週間ほど固定すると、手首を自由に動かすことができるようになります。さらに1ヶ月ほど固定すると、スポーツなどの激しい動きも可能となります。
(3)後遺障害
骨折部の痛みが長期に続く場合は、神経症状として後遺障害を申請することができます。等級としては、12級13号や14級9号の対象となります。
神経症状の立証を行うためには、骨折した部分の3DのCT(スキャン)画像が必要となります。下記は、手のひら側のCT(スキャン)の画像です。赤い丸の部分を見ると、突起が生じていることが分かります。これが有鉤骨(ゆうこうこつ)を骨折した状態です。
リハビリを行っても手を自由に動かすことができない場合は、手関節の可動域制限(かどういきせいげん)として後遺障害を申請することができます。
「手関節の可動域制限」とは、有鉤骨(ゆうこうこつ)を骨折した影響によって、手の関節を動かせる範囲が制限されてしまうことです。
可動域制限としては、後遺障害等級12級6号に認定される可能性があります。
(4)後遺障害を申請する際の注意点
手根骨(しゅこんこつ)の骨折は、お医者さんであっても見逃してしまうことが珍しくありません。そのため、交通事故から数週間が経った後に手根骨(しゅこんこつ)の骨折が発見される、ということがあります。
交通事故から数週間も経ってから骨折が確認された場合は、後遺障害の認定を受けることが難しくなります。「本当に交通事故によって骨折したのか」と疑われてしまうからです。
このような場合は、交通事故の直後のカルテやCT(スキャン)などを総合的に精査したうえで、説得的な立証をしなければいけません。後遺障害診断書を作成する際には、専門医による診断を受けて聴き取りを行うことも重要となります。
交通事故の直後に骨折を確認できなかった場合は、後遺障害の申請を慎重に行わなければいけません。通常よりも複雑な手続きとなりますので、交通事故に精通した弁護士にご依頼されることをお勧めいたします。
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