後遺障害事例

半月板損傷(はんげつばんそんしょう)

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1.半月板損傷とは

交通事故を原因として、半月板損傷してしまう例があります。

半月板は、膝関節に存在する組織の1つです。

膝関節では、「靱帯」が関節を支えて左右前後へのズレを防ぐ働きをしていますが、それ以外に、関節の動きをスムーズにして、クッションのような役割を果たしている「半月板」があります。

半月板があるのは大腿骨と𦙾骨の間であり、ここで上下の圧力を分散して、関節にある軟骨を保護しています。半月板も軟骨の1種ですが、医学的には、「細胞外線維性基質」と呼ばれます。

 

見た目も美しい組織ですが、ひとたび、割れたり切れたりすると、関節の軟骨を削ってしまうことがありますし、骨と骨のすき間に引きずり込まれて重大な事態を引き起こします。

 

交通事故のケースでは、横方向から衝撃を受けて膝をひねったときなどに、半月板が大腿骨と𦙾骨に挟まれて損傷し、断裂してしまう例が見られます。

車などにはね飛ばされて地面に着地する際、膝関節が曲がったままひねる力が加わると、水平方向に向かってストレスがかかり、半月板の一部や全部が断裂するケースが多いです。

 

2.半月板損傷の症状

半月板損傷となったとき、受傷直後の主症状は「疼痛」です。

膝を伸ばすと、何かに引っかかるような違和感が継続します。

断裂が大きく、半月板の一部が関節内にはまり込んでしまったときには、関節をある一定の角度から伸ばせない状態となります。この状態のことを「ロッキング症状」と言い、激痛や可動域制限が発生して、歩けなくなります。

半月板の周辺には血管が通っていますが、損傷が血管にまで達すると、関節内に出血が起こり、膝関節の半月板の損傷部位のあたりに圧痛や運動時の痛みが発生します。

半月板損傷には内側半月板損傷と外側半月板損傷がありますが、内側半月板損傷の発生件数の方が外側半月板損傷よりも多く、約5倍となるという報告もあります。

 

3.診断方法

半月板損傷は、以下の検査によって診断します。

3-1.マクマレー・テスト

マクマレー・テストでは、患者を仰向きにして膝を最大にまで曲げさせ、その後ゆっくり足を動かします。すると、膝のあたりに激痛が発生したり、「グキグキ」という異常音が聞こえたりします。

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3-2.グリンディング・テスト

グリンディング・テストでは、患者をうつ伏せの姿勢にして膝を90度曲げさせます。そして、踵を下方へ押しつけながら回すと、痛みが発生します。129-3

3-3.その他の検査方法

上記の検査以外には、単純XP撮影やCTスキャン、関節造影やMRI、エコーなどを使って診断をします。中でも、MRIが有効です。関節鏡検査では、直接半月板を見ることにより、損傷状況を確認できます。

 

4.治療方法

半月板の大部分には血液が通っていません。そこで、治療法としては、温熱療法やステロイドの注入などの薬物療法、ヒアルロン酸の注入、痛み止めや消炎鎮痛剤等の服用、そしてリハビリテーションという保存治療が中心となります。

ただし、近年では、半月板損傷を放置すると変形性膝関節症に発展する可能性があるため、その防止のために外科手術が選択される例も増えています。手術するときには、断裂部位の「縫合」か、「切除」のどちらかを選択します。

 

手術をするときには、膝関節内に「関節鏡」という小さなカメラを入れ、モニターを見て、関節内部を確認しながら進めます。手術後は、膝部分をギプス固定して安静状態にします。

「縫合」手術の場合には手術後6週間、切除した場合には手術後2週間程度で社会復帰できることが一般的です。

 

交通事故では、半月板を単独で損傷することは少なく、約60%のケースにおいて、前十字靱帯や内側側副靱帯の損傷を合併しますし、関節軟骨の損傷を同時に発症することもあります。

また、前十字靱帯を単独損傷し、これによって膝部動揺関節が発生して、その結果、半月板損傷が引き起こされる例もあります。

 

5.半月板損傷における後遺障害のポイント

 

5-1.半月板損傷で後遺障害が残るケース

交通事故で半月板損傷となったとき、過去(20年くらい前)には可動域制限によって126号が認定される例がありましたが、近年では、関節鏡による手術方法が進化したこともあり、こうした機能障害によって後遺障害が認定されることは減少しています。

 

後遺障害が問題になりやすいのは、初期に「膝の打撲、捻挫」と診断されて、半月板損傷が見落とされた場合です。

このように、放置されて陳旧性となってしまうと、関節鏡術を実施しても半月板損傷が完治しにくくなります。痛みも残りますし、通常歩行にも悪影響が及びます。

この場合、MRIによって半月板の修復状況を立証すると、1213号もしくは149号が認定されます。

 

5-2.ヒアルロン酸注入について

交通事故で半月板損傷となったとき、保存療法の1つの方法として、ヒアルロン酸ナトリウムを膝関節内に注入することがあります。

ヒアルロン酸は、膝関節軟骨の一成分でもあります。水分の保有率が高く、膝関節の軟骨や半月板が損傷を受けたとき、代わりに関節の潤滑油やクッションの役割をして、動きを良くするはたらきをします。「効果が高い」と評判も良いです。

ただし、ヒアルロン酸を注入しても、軟骨が再生するわけではなく、その効果には持続性が低いです。1回の注入によって効果を得られるのは数日であり、時間が経過すると吸収されたり消失したりして、元の状態に戻ります。

根本的な治療にはなりませんが、一時的な治療方法としては有効と言えるでしょう。

 

5-3.半月板の再生について

交通事故でいったん半月板を損傷すると、組織や軟骨は再生しません。半月板を完全に元の状態にすることはできないのです。

ただ、近年では、日本において、患者自身の膝の滑膜組織から幹細胞(分化する前の細胞)を取り出し、半月板を再生させるという治療方法が開発され、臨床における研究も進められています。近い将来には、半月板の再生が実現するかもしれません。

 

以上のように、交通事故で半月板損傷となった場合、基本的には後遺障害が残りにくいですが、症状を見過ごされるなどして障害が残るケースもありますし、他の症状と合併するケースも見られます。交通事故に遭って、膝の障害で後遺障害認定を受けようとされているならば、まずは一度、交通事故に詳しいアジア総合法律事務所の弁護士までご相談下さい。

当事務所では、福岡のみならず、九州、全国からご相談やご依頼を受け付けておりますのでお気軽にご相談ください。

 

 

 

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