足根骨の骨折 外傷性内反足(がいしょうせいないはんそく)
1.外傷性内反足とは
交通事故が原因で、外傷性内反足という症状になることがあります。
内反足とは、足の裏が内側を向いてしまい、外側部分だけが地についている状態です。
先天性のケースが多いのですが、交通事故による外傷で、足関節部の粉砕骨折によって、外傷性内反足をきたすことなどがあります。
診断名としては、たとえば以下のようなものになります。
- 短腓骨筋腱完全断裂、長腓骨筋腱部分断裂、距骨外反、前足・中足部内反、右腓骨遠位端骨折、右腓骨遠位端線損傷
足関節の捻挫に伴う症状として、「短腓骨筋腱縦断裂」があります。
足を捻挫した後、いつまでも外踝(くるぶし)の後ろの疼痛が残る場合、短腓骨筋腱断裂が疑われます。
上の図では、オレンジ色の部分が短腓骨筋、青色の部分が長腓骨筋です。これらはどちらも、足首を外へ返す働きをします。
○印をつけたところは外踝(くるぶし)の後部です。ここには長・短腓骨筋腱が並行して走っています。
足首を内側に捻挫すると、短腓骨筋腱が「長腓骨筋腱」と外踝の「腓骨」の間に挟まり、ストレスがかかって縦方向に断裂しやすいです。短腓骨筋腱が外踝の後ろのあたり亜脱臼を起こし、縦方向に断裂するケースもあります。外踝の後ろの部分で短腓骨筋腱が断裂すると、外踝の後部が腫れて疼痛が発生します。
内反足になると、外反扁平足とは反対に、「く」の字型の変形をきたします。
たとえば、外傷性内反足になったとき、右足が内反して、左右の下腿部を比較したときに、どちらかの下腿が1~2cm程度、筋萎縮するケースなどがあります。足の外側縁で接地することになるために、第5中足骨々頭と基部のあたりが硬化してしまう(タコができる)ケースも見られます。さらに、足の内返しと同時に尖足(せんそく)を伴うことも多いです。(尖足(せんそく)とは足の甲側が伸び、足先が下垂して元に戻らなくなった状態で、足の変形の1種です。)
内反足では、踵(かかと)が地面につかないために足先で歩行をすることとなり、体幹を支えにくくなります。また、足関節に異常が発生するために捻挫が頻発して「変形性足関節症」になってしまうことも懸念されます。対処としては、短下肢装具をつけて矯正する方法などを選択します。
靴も、靴紐でしっかりと足を固定できるものを選び、捻挫防止のために足関節を保持するミドルカットやハイカットの靴を履くようにします。靴底には、硬性のアーチサポート(中敷き)を入れます。
硬性アーチサポート
過去に取り扱った交通事故を原因とする外傷性内反足の事案では、足関節の機能障害によって後遺障害10級11号、外傷性内反足が12級相当となり、併合9級が認定されたケースなどがあります。
2.外傷性内反足における後遺障害のポイント
2-1.等級認定表に定めがない
交通事故の後遺障害認定基準表で、足の後遺障害として定められているのは「足指の欠損障害」と「足関節の機能障害」だけです。
外傷性内反足になった場合、足指は欠損しませんし、関節の機能障害もないことがあります。その場合の後遺障害は、直接的には等級認定表に定めがないのです。
こういった場合には、他の後遺障害に「準じて」後遺障害等級の認定を目指します。
すなわち、直接的に等級認定表に定められていなくても、一定の基準を満たしていたら、後遺障害認定される可能性があるのです。
2-2.準用によって後遺障害認定を受ける方法
外傷性内反足となり、準用によって認定表に記載のない等級認定を受けるためには、日常生活における具体的な支障について、丹念に立証する必要があります。
たとえば、1日16時間、睡眠時間以外は短下肢装具による矯正が必要となって全力疾走もできなくなり、歩行訓練を継続しないと、筋力がみるみる低下していくようなケースでは、たとえ関節機能障害が発生していなくても後遺障害認定を受けられる可能性があります。
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