後遺障害事例

キーンベック病=月状骨軟化症

1.キーンベック病とは?

キーンベック病とは、手根骨のひとつである月状骨(下記イラスト図の赤丸で示した部分)がつぶれて扁平化する症状のことです。

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                      →     拡大版のイラスト図です。

キーンベック病は、月状骨無腐性壊死・月状骨軟化症ともいわれています。交通事故の外傷だけで発症するものではなく、振動ドリル等をよく使用したり、大工や農林漁業に従事したりするなどして手をよく使う人に発症しやすいといわれています。

 

2.キーンベック病の原因

月状骨は、周囲が軟骨に囲まれていて血行に乏しいことから、血流障害を起こしやすく、その結果として壊死しやすいといわれています。

キーンベック病の原因はよく分かっていませんが、橈骨や尺骨の脱臼や骨折によって前腕骨のバランスが崩れ、手関節内の月状骨にかかる圧力が強くなることによって、いわば二次的な障害として発症するのではないかといわれています。

また、月状骨の不顕性骨折(はっきりしない骨折のこと)を見落とすことで、キーンベック病を発症するケースもあるといわれています。通院しても、単なる腱鞘炎であるとして適切な治療を受ける機会を逃してしまうこともありますので、注意が必要です。

 

3.キーンベック病の症状

キーンベック病の症状は、手首の痛みと腫れです。握力が低下し、痛みを原因とした手関節の可動域制限も発生します。

これらの症状のほか、手の甲の中央部に押すと痛みを感じる箇所(圧痛)がみられます。

末期になると、月状骨が壊死し、つぶれて扁平化します。

 

4.キーンベック病の検査方法

キーンベック病は月状骨がつぶれる症状ですから、その部分の血行不全が発生します。

XP検査(レントゲン検査)やMRI検査をすると、月状骨がある箇所に輝度変化が出現しますので、それによって確定診断がなされます。

 

5キーンベック病の治療方法

初期段階や痛みが強いときは、安静にしたり(手を使わずに休ませること)、サポーターやギプス固定をしたりすることで症状は改善されます。

これらの保存的療法によっても症状が改善しないときは、橈骨や尺骨のバランスを整える骨切り術、骨移植、壊死した月状骨を摘出して腱を埋め込む手術の選択が検討されます。

 

6.キーンベック病の後遺障害等級

キーンベック病によって手関節の機能障害が残るときは、その症状の重さによって、第86号(手関節の用廃)、第1010号(手関節の著しい障害)、第126号(手関節の機能障害)に該当することになります。

 

7.最後に

交通事故によって外傷を負った場合には、症状を適切に把握して、発現した症状に応じた後遺障害の等級認定を得なければなりません。後遺障害の申請には医学的な知識やそれに基づいた立証が重要になってきますので、後遺障害の申請をお考えの方は弁護士相談をご検討ください。

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