後遺障害事例

肩腱板断裂(かた けんばん だんれつ)

肩の関節は、「腱板(けんばん)」と呼ばれる組織が周囲を覆って(おおって)います。腱板(けんばん)は、ベルトのように肩の関節をカバーしています。

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交通事故では、転倒した際に手をついて肩を捻る(ひねる)ことによって、肩の腱板(けんばん)が切れてしまうことがあります。このような症状を「腱板断裂(けんばんだんれつ)と呼びます。

 

(1)断裂しやすい部位

 

肩の腱板(けんばん)は、4つの筋肉で構成されています。「棘上筋(きょうくじょうきん)、棘下筋(きょくかきん)、小円筋(しょうえんきん)、肩甲下筋(けんこうかきん)」です。

 

交通事故の場合は、棘上筋(きょくじょうきん)を損傷することが圧倒的に多いと言われています。

 

下記のイラストを見てください。

黒い印が、交通事故によって断裂しやすい部分です。

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               部分断裂      完全断裂

 

 

(2)症状

 

肩の腱板(けんばん)を断裂すると、強い痛みと腫れ(はれ)を生じます。

 

腱板(けんばん)を完全に断裂した場合は、自分で腕を挙げることはできないほど強い痛みを伴います。他人に腕を支えてもらっても、激しい疼痛(とうつう)が生じるため、肩の高さ以上に腕を挙げることはできません。

 

医師による診断では、「腕を自分の力で挙げることできるかどうか」「肩関節に拘縮(こうしゅく)があるかどうか」「腕を挙げたときに軋轢音(あつれきおん)がするかどうか」という点がチェックされます。

 

棘下筋(きょくかきん)が萎縮している場合や、腕を挙げたときに軋轢音(あつれきおん)がした場合は、医師によって「腱板断裂(けんばんだんれつ)」と診断されいます。

 

 

(3)治療

 

腱板(けんばん)の損傷が一部分にとどまった場合は、リハビリ治療ですることがほとんどです。特に若年者については、多くの場合リハビリによって完治します。

 

事故の直後は痛みが強いため、肩を自由に動かすことはできませんが、リハビリによって徐々に肩の動く範囲が広がっていきます。

 

腱板(けんばん)を広範囲に断裂した場合は、手術が必要となります。若年者に対しては、腱板修復術(けんばん しゅうふくじゅつ)という手術が行われます。

 

40代以上の場合は、肩関節の拘縮(こうしゅく)が懸念されるため、手術は行われません。この場合、ギプスなどで皮膚の外側から固定する治療が行われます。固定はおよそ2週間ほど行われます。

 

症状固定の時期は、個々の症状によって異なりますが、受傷からおよそ6ヵ月を経過した時点で症状固定となることが一般的です。

 

 

(4)後遺障害の申請

 

肩腱板断裂(かたけんばんだんれつ)の後遺障害は、「MRI検査」もしくは「エコー検査」の資料を用いて立証しなければなりません

 

注意しなければならないのは、「XP検査(レントゲン)では不十分な場合がある」ということです。

 

XP(レントゲン)を撮影した場合、肩峰と上腕骨頭の裂陵が狭くなっていることが分かります。しかし、医師が「XP検査(レントゲン)によって、肩峰と上腕骨頭の裂陵が狭小化していることが確認できる」と診断しても、後遺障害の立証としては不十分とされることがあります。

 

しかし、MRI検査を行った場合は、肩の腱板(けんばん)に白く映る高信号域が認められるため、後遺障害の資料として使うことができます。エコー検査においても断裂部を直接確認することができるため、後遺障害の資料とすることができます。

 

つまり、後遺障害の審査では、「MRI検査」と「エコー検査」が非常に重要です。医師によっては、XP検査(レントゲン)しか行わないことがあるので注意しましょう。治療のためにはXP検査(レントゲン)のみで十分な場合もありますが、示談手続きにおいては「MRI検査」か「エコー検査」が必要となります。

 

このため、肩腱板断裂(かたけんばんだんれつ)について後遺障害を申請する際には、どのような資料が必要となるのかを慎重に見極めなければいけません。お一人で準備すると時間がかかってしまうので、交通事故に精通した弁護士にご依頼されることをお勧めいたします。

 

当事務所では、数多くの交通事故・後遺障害の案件を取り扱っており、全国各地から交通事故のご相談に来ていただいております。肩腱板断裂(かたけんばんだんれつ)でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

 

(5)後遺障害等級

 

肩の動きが、正常な状態に比べて2分の1以下に制限されているときは、「肩関節の機能に著しい障害を残すもの」として、後遺障害等級10級10号が認定され、

正常な状態に比べて関節の動きが4分の3以下に制限されているときは、「肩関節の機能に障害を残すもの」として後遺障害等級12級6号が認定されます。

被害者が40代以上であれば、肩関節の機能障害として12級6号に該当することが多いと言われています。

 

腱板(けんばん)が広範囲に断裂している場合や、肩関節の脱臼と鎖骨骨折(さこつこっせつ)を合併している場合などは、10級10号に認定される可能性がありますが、後遺障害等級10級に認定されることはめったにありません。

 

後遺障害等級12級を獲得することができた場合は、損害賠償金はおよそ500万~1,000万円程度となります。これは弁護士に依頼した場合の参考金額ですが、個別事案によって金額は異なります。

 

後遺障害の等級認定を受けるかどうかによって、損害賠償金は大きく変わります。後遺障害の認定を受けるためには、医学的な知見だけでなく、法律的な知識や経験が必要となります。

 

後遺障害が認められるかどうかは、症状によってケースバイケースです。少しでも有利に交渉を進めるためには、交通事故に精通した弁護士にご依頼されることをお勧めいたします。

 

示談手続きでどのような証拠が必要となるかは、法律の専門家である弁護士が熟知しています。肩の腱板断裂(けんばんだんれつ)でお悩みの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。

アジア総合法律事務所では、福岡のみならず、九州、全国からご相談やご依頼を受け付けております。

 

当事務所には、年間約200件にのぼる交通事故・後遺障害のご相談が寄せられます。
多くは福岡県内の方ですが、県外からのご相談者もいらっしゃいます。

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