バートン骨折
■1.はじめに
バートン骨折も、橈骨遠位端骨折(手首の骨折)のひとつです。橈骨遠位端骨折については、下記イラスト図をご参照ください。
コーレス骨折とスミス骨折が手関節の関節外骨折であるのに対し、バートン骨折は手関節の関節内骨折です(正確には、関節内骨折は単純骨折型と粉砕骨折型の2つに分かれますが、粉砕関節内骨折の4類型の中に「粉砕コーレス骨折」と「粉砕スミス骨折」というものがあります)。
バートン骨折についても、単純関節内骨折に分類される「背側バードン骨折」と「掌側バートン骨折」、粉砕関節内骨折に分類される「背側バートン・ショフール骨折」と「掌側バートン・ショフール骨折」があります。
関節外骨折としてのコーレス骨折、スミス骨折、単純関節内骨折としての背側バートン骨折、掌側バートン骨折は、下記イラスト図をご参照ください。
■2. 「背側バードン骨折」と「掌側バートン骨折」とは?
「背側バードン骨折」とは、遠位骨片が手根骨とともに背側に転位したもの(手関節内の骨が手の甲の側にズレたもの)です。
「掌側バートン骨折」とは、遠位骨片が手根骨とともに手のひら側に転位したもの(手関節内の骨が手のひらの側にズレたもの)です。
これらが粉砕骨折を伴うと、「背側バートン・ショフール骨折」、「掌側バートン・ショフール骨折」と呼ばれるときもあります。手関節内の粉砕骨折を伴うと、治療が困難になります。1か所の骨折であれば固定しやすいことから骨癒合しやすいのですが、粉砕骨折とは、手関節内の骨がいくつもズレて割れている状態のことですから、固定しにくく、骨癒合もしにくいからです。
■3.バートン骨折の治療方法
バートン骨折は橈骨遠位端骨折のひとつですから、その治療方法も橈骨遠位端骨折の項でご説明した治療方法と同じものになります。
すなわち、単純骨折であればギプス固定などの保存的治療で骨癒合を期待することができますが、粉砕骨折をしている不安定型であれば、保存的治療では骨癒合が期待できませんので、観血固定術(切開してプレートを埋め込むなどして固定する術式)が選択されます。
ただし、手関節内の骨折であるため、手関節外の骨折であるコーレス骨折やスミス骨折よりも骨癒合しにくく、変形癒合を残す(変形したまま骨が固まる)ことがあります(下記イラスト図参照)。
上記イラスト図のように変形癒合を残すと、手関節の機能障害(手関節が元どおり動かないこと)が発生する場合があるほか、正中神経の圧迫障害(手指の先が痺れる症状)を伴い、外傷性手根管症候群を発症するケースもあります。
また、ギプス固定が長期化すると骨萎縮が起こる場合があるほか、痛みのために十分なリハビリを実施することができないケースでは、手関節や手指が拘縮する(固まって動かなくなる)ことがあります。
■4.後遺障害等級
バートン骨折の後遺障害等級は、橈骨遠位端骨折の項でご説明した後遺障害等級と同じです。
すなわち、手関節の機能障害が残るときは、その症状の重さによって、第8級6号(手関節の用廃)、第10級10号(手関節の著しい障害)、第12級6号(手関節の機能障害)に該当することになります。
変形障害に至らない変形治癒を残し、骨折部位に痛みがあるときは、神経系統の障害として、第12級13号(局部の頑固な神経障害)ないし第14級9号(局部の神経障害)に該当する可能性があります。
■5.最後に
交通事故によって外傷を負った場合には、症状を適切に把握して、発現した症状に応じた後遺障害の等級認定を得なければなりません。後遺障害の申請には医学的な知識やそれに基づいた立証が重要になってきますので、後遺障害の申請をお考えの方は弁護士相談をご検討ください。
アジア総合法律事務所では、福岡のみならず、九州、全国からご相談やご依頼を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
当事務所には、年間約200件にのぼる交通事故・後遺障害のご相談が寄せられます。
多くは福岡県内の方ですが、県外からのご相談者もいらっしゃいます。