後遺障害事例

外傷性腰部症候群の神経症状について

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1.外傷性腰部症候群と椎間板ヘルニア

交通事故が原因で、外傷性腰部症候群になったときには「神経症状」によって後遺障害が認定されます。その認定を受けるには、腰椎や脊椎の構造を知っておく必要があります。そこで、以下ではまず、脊椎と腰椎の仕組みを確認しておきましょう。

 

人間の脊椎は、25個ある「椎骨」が「椎間板」をはさみ、頚部から尾底骨まで連なってできています。頸椎はC、胸椎はTh、腰椎はL、その下の仙椎はSと呼ばれています。

腰椎は5つの「椎骨」が椎間板をはさんで連なったもので、椎骨の空洞部分には脊髄が通っています。

そして、脊髄はL1でのところで終わり、それより下には馬尾神経が走っています。

椎骨は、椎間板と前縦靱帯(脊椎を縦に貫く靭帯)と後縦靭帯、椎間関節、筋肉などによってつながれています。椎骨の馬尾が走っている部分を「椎孔」、その「椎孔」がトンネル状に並んでいるものを「脊柱管」と言います。馬尾神経から枝分かれしている神経根は、椎骨の間の椎間孔を通って、身体の各部分を支配しています。

 

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そして、外傷性腰部症候群で注目すべき点は、L3/4/5/S1の神経根です。L3/4/5/S1の左右6本の神経根は、脊髄から枝分かれして、下肢を支配しているものだからです。

 

そして、多くの交通事故のケースで、椎間板ヘルニアがあると、外傷性腰部症候群になりやすい素因となります。

 

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L3/4のヘルニアがあると、L4神経根が障害されるので、大腿前面や下腿内側面に知覚障害が出現し、膝蓋腱反射が減弱します。大腿四頭筋と前脛骨筋が萎縮し、大腿神経伸展テスト(FNS)を行うと、で陽性の反応を示します。

 

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L4/5のヘルニアの場合には、L5神経根が障害されるので、下腿前外側と足背に知覚障害が出現します。長母趾伸展筋の筋力低下や大臀筋の萎縮が見られて、ラセーグテストで陽性になります。

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    ラセーグテスト

 

L5/S1のヘルニアの場合、下腿外側と足背、足底外縁に知覚障害が出現します。アキレス腱反射が低下または消失して、腓腹筋と腓骨筋力が低下するので、つま先立ちができなくなります。

ラセーグテストをすると、陽性所見となります。

 

 

 

2.外傷性腰部症候群における後遺障害のポイント

 

2-1.医師が「交通事故が原因ではない」と判断する場合の考え方

交通事故で外部性腰部症候群になったとき、病院にかかると、医師から「L4/5にヘルニアが認められますが、事故によるものではありません」と言われることがあります。

すると「事故が原因で腰痛が出現していて、右足のしびれもあるのに、どうして?」と感じる被害者の方が多いです。

ただ、このことについては問題ありません。

人は、18歳頃から脊椎の変性が開始します。30歳を超えると、ほとんどすべての人に、大なり小なりの年齢変性があるものです。

年齢変性の代表が腰椎椎間板ヘルニアで、神経根を圧迫していることが多いですが、交通事故前にヘルニアがあっても、多くは無症状です。しかし、交通事故通事故の衝撃によって、神経根の膜が傷つくと、その神経根が支配している領域に痛みや痺れなどの神経症状が出現するのです。この症状が後遺障害になります。

 

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14級9号程度の場合、傷ついた膜が修復されると、症状はなくなります。ある程度の時間がかかりますが、一生痛みや痺れが続くことはありません。

 

重要なのは、裁判所において「年齢相応の変性については、素因減額の対象にされない」ことです。

医師が「交通事故によるものではない」と言っても後遺障害認定を受ける事は可能ですし、基本手金慰謝料減額要因にもなりませんから、気にする必要はありません。

 

2-2.早期のMRI撮影

外傷性腰部症候群の場合、交通事故による受傷後、早期にMRI撮影をすると、神経根に浮腫を確認できるケースがあります。

浮腫があれば、その腰部椎間板ヘルニアが外傷性であることを証明できます。

このとき、「MRI撮影」をすることが重要です。レントゲンやCTは骨を見るための検査であり、神経根を確認できるのは、MRIのみだからです。

必ず受傷2カ月以内に、MRI撮影を受けましょう。

 

  • 受傷直後に撮影したMRIにおいて、L4/5/S1の神経根の通る官が狭くなっていること
  • 神経根が圧迫を受けていること

これらを確認できたら、患者の自覚症状に一致する画像所見を得られたことになるので、後遺障害の認定を受けられる可能性が高くなります。

 

 

当法律事務所でも、交通事故の依頼者の方が、症状に合った適切な後遺障害の認定がされるように、アドバイスをさせていただいておりますので、是非ご相談ください。

弁護士が交渉することにより14級の場合に250万~300万円程度、12級であれ500万~1000万円程度の賠償金額となることもあります(但し、個別事案によって異なります)。

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