外傷性食道破裂(がいしょうせいしょくどうはれつ)
1 食道破裂の症状
食道破裂とは、文字通り、食道が破裂する症状のことをいいます。
食道破裂が起こると、嘔吐、胸痛、呼吸困難、心窩部痛、嚥下困難の症状がみられます。
2 交通事故での発症
まれに、交通事故で胸部に対する強い打撃や圧迫によって、外傷性食道破裂が発症することがあります。
過去の事例としては、歩行中の交通事故により受傷した男性が、胸部CTとMRI検査によって右血胸、縦隔血腫、頚椎骨折、第三胸椎破裂骨折が認められた後、内視鏡検査で食道穿孔を認め、外傷性食道破裂と診断されたケースがあります。このケースでは、発症した食道破裂は、頚椎骨折の骨片による損傷が原因と診断されました。
3 診断方法
診断は、水溶性造影剤による食道造影、CT検査によって行われます。
造影CT検査では、縦隔炎、縦隔気腫、胸水、胸膜下膿瘍、胸膜下液体貯留が確認できます。
4 治療方法
治療では、呼吸路の確保が先決となります。
呼吸困難の場合、気管切開で気道を確保しなければなりません。
破裂部分がごく一部の小さな穴で、縦隔炎が軽度の場合には、禁飲食、高カロリー輸液による保存的治療が行われます。
それ以外の場合、外科的治療(食道修復術)およびドレナージ術が直ちに行われます。
①食道修復術
破裂してからの時間経過が短く、縦隔炎が軽傷で食道の状態が良好であれば、食道壁を直接縫合する方法が採られています。
②食道再建術
(胃管吊り上げ術)
破裂してからの時間経過が長く、縦隔炎が高度である場合や、食道の状態が不良などの場合、緊急手術で食道を切開します。後日縦隔炎が落ち着いた状態で、胃管を使用した吊り上げ術などで食道再建を行います。
③内視鏡治療
裂傷部位のクリッピング、食道ステントを使用した内視鏡治療が行われる場合もあります。
当事務所には、年間約200件にのぼる交通事故・後遺障害のご相談が寄せられます。
多くは福岡県内の方ですが、県外からのご相談者もいらっしゃいます。