後遺障害事例

手指の各関節の側副靭帯損傷(そくふく じんたい そんしょう)

手指の関節の両側には、「側副靭帯(そくふくじんたい)」という組織があります。

側副靭帯には、「関節が横方向に曲がらないように制御する」という機能があります。

 

側副靭帯損傷(そくふくじんたいそんしょう)は、「側副靭帯が破裂して断裂する」という症状です。

 

特に親指の関節を損傷することが多く、これを「拇指MP関節尺側側副靱帯損傷(ぼし えむぴーかんせつ しゃくそくそくふくじんたい そんしょう)」と呼んでいます。

 

「拇指(ぼし)」とは、手の親指のことです。「MP関節」とは、親指の指先から2番目の関節のことです。

「尺側側副靱帯(しゃくそくそくふくじんたい)」とは、人差し指側にある靭帯のことです。

 

つまり、拇指MP関節尺側側副靱帯損傷は、「親指の第2関節の靭帯(じんたい)が断裂する」という症状です。

 

この症状は、スキーで転倒した時に発症することが多いため、「スキーヤーズサム」とも呼ばれます。

 

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    右手背側           右手掌側

 

 

右手背側                        

(1)治療方法

 

靭帯が完全に断裂すると、ギブスで固定しても治癒することはありません。

 

靭帯を破裂した場合、症状が比較的軽ければ、2~4週間ほどギプスで固定します。

XPで異常が確認されない場合でも、一定期間のギプス固定が必要となります。

 

2〜4週間で症状が改善すれば、徐々にリハビリを開始します。

症状が改善しない場合には、手術が行われます。

 

交通事故の直後に適切な治療を行わない場合には、指が側方へ曲がったり、指に力が入らないなどの障害が残ることがあります。

 

(2)ステナー障害

 

母指MP関節尺側々副靭帯損傷の場合は、「ステナー障害」を発症する可能性が高くなります。

ステナー障害とは、「靭帯の断端が反転して、母指内転筋腱膜の下に挟まってしまう」という症状です。

 

ステナー障害を発症すると治癒不能となってしまうため、手術が必要となります。

 

(3)手術

 

交通事故後に早期に手術を行う場合は、「靭帯縫合術(じんたいほうごうじゅつ)」を行います。

切断された幹部を直接縫い合わせる手術です。

 

完全に靭帯が断裂したまま3週間以上が経過した場合は、手術で縫合することが困難となります。

この場合は、「側副靱帯再建術(そくふくじんたい さいけんじゅつ)」を行います。

 

「靱帯再建術」とは、「切れた靭帯の代わりの腱を、自分の膝の裏から移植する手術」です。

 

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