手指屈筋腱損傷(しゅし くっきんけん そんしょう)
屈筋腱(くっきんけん)とは、「手の拳(こぶし)側にある腱(けん)」のことです。
屈筋腱損傷とは、「手の拳(こぶし)側にある腱が断裂すること」です。
(1)深指屈筋腱(しんしくっきん)と浅指屈筋腱(せんしくっきん)
手指の屈筋腱には、2種類あります。
「深指屈筋腱(しんしくっきんけん)」と「浅指屈筋腱(せんしくっきんけん)」です。
なお親指には、屈筋腱は1つしかありません。
(2)種類
屈筋腱損傷には、2種類あります。
切創や挫創(ざそう)による「開放性損傷(かいほうせいそんしょう)」と、創のない「閉鎖性損傷(へいさせいそんしょう)」「皮下断裂(ひかだんれつ)」です。
(3)症状
交通事故によって屈筋腱を断裂すると、筋の収縮が骨に伝達されなくなります。
自由に手の指を曲げることができなくなり、無理に指を曲げようとすると強い痛みを感じます。
親指以外の指には、2種類の屈筋腱があります。両方とも断裂すると、手指が完全に伸びた状態となります。
この状態になると、全く指を曲げることができなくなります。
深指屈筋腱(しんしくっきんけん)のみを断裂したときは、DIP関節(指の第1関節)だけが伸びた状態となります。
この場合、DIP関節(指の第1関節)を曲げることはできませんが、PIP関節(指の第2関節)を曲げることはできます。
(4)治療
屈筋腱を損傷すると、多くの場合、神経の断裂を伴います。
屈筋腱と神経の修復を同時に行わなければいけないため、専門医による治療が必要となります。
一般的な治療としては、「腱縫合術(けんほうごうじゅつ)」という手術が行われます。
腱縫合術は、「切れた腱同士を縫い合わせる」という手術です。
手の外傷の治療のなかで最も難しい治療の一つであるため、正確かつ高度な技術が必要となります。
手術後の治療も、非常に重要です。
通常は、指を曲げる動きを改善するようにリハビリテーションを行います。
症状によっては、リハビリの期間が3ヵ月以上にわたることもあります。
当事務所には、年間約200件にのぼる交通事故・後遺障害のご相談が寄せられます。
多くは福岡県内の方ですが、県外からのご相談者もいらっしゃいます。