後遺障害事例

腰椎分離(ようついぶんり)・すべり症

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CTで、上下の関節突起の中央部が断裂しています。

1.腰椎分離症とは

腰椎分離症とは、椎弓の一部としての上下の関節突起の中央が断裂し、連続性が絶たれたために、椎弓と椎体が離れてしまう症状です。わかりやすく言うと、背骨の後方と前方が離れ離れになってしまうことです。

先天性のものと後天性のものがありますが、後天性の場合、思春期の頃にジャンプや腰の回転運動などを繰り返したために、腰椎の後方が疲労骨折したことではないかと言われています。

また、日本人の57%には、腰椎分離症があるとされます。ただ、腰椎分離症になっても、大多数の人は、痛みも感じずに日常生活を送っています。

しかし、交通事故が起こると状況が変わります。事故による衝撃が腰部に加わると、椎体が前方向にすべってしまい、「分離すべり症」となります。

分離自体は事故前から存在したものですが、そのことが原因ですべり症となってしまうのです。

ほとんどのケースにおいて、分離すべり症はL5の部位に発生します。

 

2.治療方法

治療方法としては、腰椎コルセットを装着して安静加療をすることです。安定期になると、腹筋や背筋を強化するためのリハビリを行い、腰痛が発生しないようにします。

腰痛や神経根圧迫によって臀部や下肢に疼痛が発生したり、間欠性跛行のために歩ける距離が100m以内になったり、膀胱や直腸障害が出現していたりするときには、神経圧迫を取り除くための椎弓切除術や脊椎固定術が行われます。

また、最近は、TLIF片側進入両側除圧固定術が主流となってきています。

 

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3.腰椎分離・すべり症における後遺障害のポイント

 

3-1.既往歴と判断される

分離症では自覚症状がほとんどないため、事故受傷後にレントゲン検査をしたときに症状を知る方が非常に多いです。

つまり、事故前には、支障もなく、普通に生活をしていたのに、突然画像診断によって分離症を言われて「既往歴」とされます。その場合、椎弓切除術や脊椎固定術が実施されたとしても、脊柱の変形によって117号の認定を受けられなくなります。

 

3-2.神経症状について

保存療法や外科手術をしてもL5部分に疼痛が残った場合、3DCTMRI検査によって骨癒合を証明し、痛みの神経症状については後遺障害診断書によって明らかにします。この場合、後遺障害149号が認定されます。

 

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