頭部外傷 急性硬膜下血腫
急性硬膜下血腫とは、「頭蓋骨の内側で脳を包んでいる硬膜と、脳の間に出血がたまって血腫となったもの」です。
脳組織が挫滅して脳挫傷を発症すると、そこから脳内に出血します。
出血が脳の表面、脳表と硬膜の間に流れ込むと、硬膜下腫となります。
急性硬膜下血腫は、脳挫傷と同じ部分に発症するとは限りません。
脳挫傷の対角線上に認められるケースも多数報告されています。
急性硬膜下血腫は想像しにくい症状なので、下記の例でイメージしてみましょう。
ボウルに水を張り、お豆腐を浮かべます。
ボウルの右側を叩くと、その衝撃が波となり、お豆腐が左側に動きます。
お豆腐がボウルの左側とぶつかり、お豆腐の左端が崩れます。
つまり、ボウルの「右側」から衝撃を受けたにもかかわらず、その反対である「左側」が崩れます。
急性硬膜下血腫は、これと同じような状況です。
外から強い衝撃を受けると、その対角線上の部位が崩れてしまうのです。
その崩れた部位を、「急性硬膜下血腫」と呼びます。
急性硬膜下血腫を発症すると、脳内が圧迫されます。
頭蓋内の圧迫が進むと、激しい頭痛や嘔吐をもよおします。症状がひどい場合には、意識障害などが認められます。
脳内の圧迫が強い場合には、「脳ヘルニア状態」と呼ばれる深刻な状態に進行することがあります。
脳ヘルニア状態に至った場合には、死亡する方もいらっしゃいます。
急性硬膜下血腫を生じた場合には、手術が行われることがあります。
医師が「血腫の大きさ」や「症状の程度」を診断し、必定であれば緊急に「開頭血腫除去術」が行われます。
脳神経外科のガイドラインでは、「血腫の厚さが1cm以上かどうか」を手術の目安としています。
脳ヘルニアが進行して脳幹の機能が失われた場合は、手術の危険が高くなるため、開頭手術を行えないことがあります。
さらに重症なケースでは、「穿頭血腫ドレナージ術」を行います。
穿頭血腫ドレナージ術とは、「局所麻酔で頭蓋骨に小さな孔を開けて血腫を抜く」という方法です。
それでは、急性硬膜下血腫のCT画像を見てみましょう。
緑色の矢印の先に、急性硬膜下血腫を確認することができます。
下記は、急性硬膜下血腫のMRI画像です。
画像の右側に、巨大な三日月型の白い部位が見られます。
この白い部分が「急性硬膜下血腫」です。
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