膝関節の仕組み(ひざかんせつのしくみ)
今回は、交通事故で受傷しやすい部位である「膝関節」の仕組みを、Q&A方式で、ご説明します。
Q1.膝関節は、どんな骨で構成されているのですか?
膝関節は、太ももの大腿骨と、すねである下腿骨をつないでいる関節です。
大腿骨と𦙾骨、膝蓋骨(しつがいこつ)の3つの骨によって構成されています。
Q2.膝関節で接している骨はどのようなものですか?
膝関節では、大腿骨と𦙾骨が接しています。
𦙾骨の関節面の形状は、ほぼ平らになっており、その上を、大腿骨の丸形の先端部分が接して滑るような動きをしています。
このように、膝関節は、平らな骨と丸い骨の組み合わせであり、動きも滑るようなものですから、それだけでは不安定な構造です。
そこで、大腿骨と𦙾骨、膝蓋骨と大腿骨の関節の内面は、「軟骨」とよばれるクッションによって覆われて、相互につながれています。大腿骨と𦙾骨の関節面には、さらに「半月板」という、もう1つのクッションもあります。
Q3.軟骨だけで膝関節は安定するのですか?
いいえ、それだけではありません。
膝関節には、軟骨だけではなく4本の「靱帯」があります。これは、大腿骨と𦙾・腓骨を硬く締め付けるベルトのようなものです。これによって、膝関節は前後左右の方向に対し、ずれを防止できて安定性が保たれます。
Q4.靱帯で締め付けても、膝関節は動くのですか?
はい、動きます。
靱帯は、膝関節が前後左右の方向へ動揺することを防止しているだけで、筋肉や腱の動きを阻害するものではないからです。
「膝の曲げ伸ばし運動」は、筋肉や腱の働きです。具体的には、大腿四頭筋や膝蓋腱が、膝を伸ばす働きを担っており、膝屈筋が、ひざを曲げる働きを担っています。
そして、膝関節全体は、「滑膜」という柔らかい膜のついた「関節包」という袋により、包まれています。
滑膜では関節液という水分が生成されて、膝の滑らかな動きや軟骨の栄養補給のため、重要な役割を果たしています。
このように、全体としては筋肉や腱が柔らかく動けるようになっているので、靱帯があっても膝を動かすことができます。
Q5.交通事故で膝関節を受傷した場合、どんな外傷がありますか?
交通事故による膝関節の代表的な外傷は、大腿骨顆部骨折、𦙾骨顆部骨折、膝蓋骨々折、半月板損傷、前十字靱帯損傷、後十字靱帯損傷、内側々副靱帯損傷です。
中でも、𦙾骨顆部骨折の場合、半月板損傷や靱帯損傷を合併することが多く、治療を施しても後遺障害が残る可能性のある重症例です。
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